「美雪、ご飯持って来たよ。って言ってもパンだけどね。それと、高広の荷物ね」


「ありがとう留美子。さっき食べたばかりだけど、お腹が減ってさ」


ありがたく留美子からパンを受け取り、皆が作っている輪の中に入る。


雑談をしながら皆で一緒にお弁当を食べる……楽しいと思えるはずのこの状況も、私の家族が死んだ事と、世界にヒビが入っている事が、心から楽しいと思わせてくれない。


「どうしたの?あ、それだけじゃ足りないんでしょ?仕方ないなあ、優しい私がウインナーをあげよう。はい、あーん」


留美子の箸で運ばれるウインナー。


そんなに物欲しそうな顔をしていたかな?


でも、美味しそう。


「あ、ありがとう。あーん……」


口に入れられたウインナーを、もぐもぐとかみ締めてパンもひとかじり。


「メシを食い終わったら、美子が言ってた場所を探すか。まだそこが分かんねぇんだってよ」


「でも、探すって言ってもさ、美雪しか行っても意味ないんじゃないの?その美雪が場所を知らないなら、探せないんじゃないかな?」


明日香の言葉に、そこにいる全員が黙ってしまった。