「いや……それがよぉ、まだ付き合ってくれねぇんだよ」


「え、どうして?明日香も高広の事が好きなんでしょ?」


「また妙な事言い出してよ……『呪い』を解いた後なら付き合うって言うんだぜ?ありえねぇだろ」


高広もなかなか大変なんだな。


それに、「呪い」が解けるって事は、このヒビ割れた世界が壊れてしまう事じゃないの?


「ごめんね、高広。それって私のせいだよね……」


明日香の中には、私が棺桶に入ったから、自分だけ幸せにはなれないという思いがあるのだろう。


優しいからな……明日香は。


「こんなヒビだらけの世界、居心地が悪いからよ……まあ、美紀の『呪い』がどれだけすごいんだって話だな」


「最初は小さな『呪い』だったのかもしれないよ?だけど年月を重ねるうちに、無理が生じて来たんだと思うんだ」


50年以上経った今、それが解放されようとしているのだから。













高広と、「呪い」や明日香の話をしてるうちに昼休みが訪れた。


袴田と結子以外の3人が屋上にやってきて、私と一緒にお昼ご飯を食べてくれるようだ。