真冬だけじゃない、お父さんもお母さんも、もう死んでいた事に私はショックを受けて、その場に座り込んだ。


「皆……死んじゃったんだね。生きてるのは私ひとりだけか……」


それも、私の事を覚えている人は6人しかいない。


家族の死も悲しむ事ができなかったなんて。


何か、胸の辺りにポッカリと穴が空いているような感じがする。


「ごめんね、美雪。でも、知らせなきゃいけない気がしてさ……余計なお世話だった?」


「そんな事ないよ……ありがとうね。でも……やっぱりショックかな」


そう呟いた私の隣に腰を下ろし、頭をなでてくれる留美子。


「誰が美雪の事を忘れても、私達は忘れないからさ。力不足かもしれないけど」


この世に、私の家族はもういないんだ……。


だから、留美子の言葉はとてもうれしい事だった。


「ほらほら、メロンパン好きなんでしょ?食べなきゃ力出ないよ」


まだ袋を開けていないメロンパンを指差して、話を変えようとしてくれている。


それが分かったから、私は留美子の言う通りにメロンパンを手に取る。


それを食べながら、この八日間で何が変わったのかを聞いて、ふたりでヒビ割れた空を眺めていた。