「武司も結子も、ありがとうね……ほら高広、出るから離れてよ」


そう言われても、高広は離れたくないのだろう。


明日香の脇に手を入れ、立ち上がるのを手伝っている。


「ふぅ……皆、改めてありがとうね。でも……八代先生に聞いて知ってるんでしょ？この中の誰かが棺桶の中に入るくらいなら、私がもう一度入るよ」


明日香のその言葉には何の迷いもなく……少し悲しそうな笑顔を浮かべていた。


私達の話には何の興味もないのか、美紀は長椅子の上で飛び跳ねたり、寝転んでみたり……。


今なら、話をしても大丈夫かもしれない。


「その事なんだけどな、明日香。俺達はカラダを探すだけじゃなくて、この『呪い』を解く方法も探していたんだ。それを、美雪が見つけてくれた」


私の肩に手を置いて、にこやかに明日香を見る翔太。


「『呪い』を……解く方法？そんな事ができるの？あ、翔太……鼻血がすごいよ」


もう出血はないものの、固まった血が髭のように口の周りに付いている。