その声に、皆いっせいに立ち上がり、玄関前ホールの東側の入り口を見る。


そこには、ゆっくりと入り口の段差を足をかける明日香の姿が、高広の携帯電話の明かりで浮かび上がっていたのだ。


「さあ相島、ここからだろ?どうやって『呪い』を解くんだ?」


「まだだよ……明日香が生き返った後じゃないと」


「チッ、面倒くせぇ。さっさと生き返れよな」


袴田がそんな事を言っている間にも、明日香が私達の前に歩み寄り、背中を向けるようにして立つ。


そして……明日香の髪を左右に分けるようにして、小さなふたつの手が現れたのだ。


その間から、こちらの様子をうかがうようにのぞく目。


あの目を私は何度も見ている。


小野山邸でも、夜の学校でも。


明日香の頭から、その右腕が出されて……徐々に美紀が姿を現すその姿は、不気味の一言。


まるで、脱皮でもしているかのようだ。


「うえぇ……何これ、気色悪っ!」


ズルリと明日香の頭から出てきた美紀を見て、留美子が声を上げた。


床に着地して、立ち上がって私達を見回す美紀。