「俺は……明日香が『呪い』を解くって言うならそれでも良い」


好きな人が決めた事なら、それがどんな結末になったとしても受け入れる。


そういう事なのかな?


「やっぱり、高広も武司も似てるわ。まったく同じ事を言うなんてね」


「うるせぇぞ結子!余計な事を言うんじゃねぇよ!」


袴田も、結子に決めてもらったんだ……。


あんな状態じゃあ、冷静に考える事ができないから?


いや、そうじゃない。


きっと、高広が明日香を想う気持ちに負けないくらい、袴田も結子の事が好きなのだろう。


そんな気持ち……私は一度も持つ事ができなかったな。


何とかまとまる事ができたのは、翔太のおかげ……というべきかな。


高広と袴田が喧嘩を始める事もなく、私達は生徒玄関のドアが開くのを待っていた。


「翔太、あんた何考えてんのよ。あのふたりの間に入って、殺されなかったのは奇跡だよ?」


皆とは少し離れた場所で、翔太が他に怪我をしていないか心配しながら、留美子が呟く。