「なんだとコラァ!! 最後まで俺とやり合おうってのか!?あぁ!?」


高広も、袴田の簡単な挑発に乗って……。


怒りに満ちた表情をお互いに向け合い、歩み寄るふたり。


そして、今にも鼻と鼻が触れてしまいそうな距離で、メンチを切っている。


「やめろ!ふたりとも!!いつも黙ってたけど、今日こそは言わせてもらうぞ!!」


ふたりを引きはがそうと、無理矢理間に割って入る翔太。


「どいてろ翔太ぁ!!」


「うっせーんだよガリ勉!!」


でも、振り払おうとした高広のひじが翔太のメガネに、普通に殴った袴田の拳が翔太の鼻に当たり、弾かれるように後方に倒れてしまったのだ。


「翔太!大丈夫!?ふたりとも、何やってんのよ!!」


倒れた翔太に慌てて駆け寄る私と留美子。


「ああ……メガネが曲がってるし、鼻血も出てる……血は止まらないのに」


手当てしてあげたいけど、ポケットには携帯電話くらいしかない。


「テメェ!翔太を殴るとはどういうつもりだコラァ!!」


「テメェも殴ってただろうが!あぁ!?」