いきなり怒鳴りつけられても、意味が分からない。


でも、怒りを私達に向けていても、その目から流れている涙に、よほどの事があったのだと私は理解した。


「何なのよ!私達が何をしたってのよ!?妙ないちゃもん付けるのやめてくれない!?」


私が立ち上がっている間に、留美子が袴田に文句を言っている。


「テメェらが明日香のカラダを棺桶に入れたから……あゆみはなぁ……あゆみは!!」


グッと涙をこらえているのだろうけれど、袴田の目から涙が流れている……。


握り締めた拳も震えていて、どれだけ辛い思いをしたのかという事が、それだけでも分かった。


「あゆみちゃん……ついさっき、死んだのよ。『昨日』が変わって、何もかもが悪くなってる」


あゆみちゃんが死んだ……。


結子の口調が、いつもとは違うのはそのせいなのだろう。


「高広は喜んでるだろうなあ!カラダは後ひとつなんだろ?明日香が生き返って、あゆみが死んで!!俺にしてみれば、明日香なんてどうでも良いんだよ!!テメェら、あゆみを返せコラァ!!」


そう叫んで、近くにあった椅子を蹴とばす袴田。