ドアを少し開き、室内をのぞいてみると……電源が入っていないテレビの前の椅子に座り、テーブルに伏せている袴田の姿と、その背中をさすっている結子の姿がそこにあった。


でも……なんだか入りにくい雰囲気。


啜り泣くような音が聞こえているから……袴田が泣いているのかな?


「美雪、何してんの?早く入ってよ」


留美子の言葉に、慌てて顔を上げた袴田。


悲しみと怒りが混ざったような表情で、こちらをにらみつける。


「なんか……やばそうなんだけど」


留美子にそう言ったと同時くらいにドアが開けられ、私は腕をつかまれて室内に引きずり込まれたのだ。


まるで、昨夜の最後を思い出させるような強引さに、足がもつれて床に倒れてしまった。


「痛いって!放してよ!!」


留美子も、私と同じように乱暴に室内に入れられる。


そして、ドアを閉めた袴田が、怒りに満ちた目で私達をにらみ付けた。


「テメェら……許せねぇよ。あゆみがテメェらに何したってんだよ!!」