もしかすると死んでいるかもしれない。


その可能性は十分にあるけど……大切な人が死ぬのは辛い。


袴田が自暴自棄になってしまう事も考えられるのだ。


「あゆみちゃんって、どんな子なんだろ?『昨日』は見る事ができなかったけどさ」


「そうだね、エレベーターですぐに一階に行ったからね……」


名前だけで、顔も知らない。


分かっているのは、袴田の妹だという事だけ。


たったそれだけの情報しかないのだ。


病院の中に入り、私達はエレベーターへと向かった。


まだこの時間はロビーにも人がちらほらといる。


「昨日」の夜とは違い、人がいるという安心感もある。


四階のどこかにいるはずのあゆみちゃん。


その安否を確認するために、私達はここに来たのだ。


エレベーターに乗り、四階で降りた私達。


当然あゆみちゃんの病室なんか分かるはずもなく、エレベーターの前にあるナースステーションで尋ねる事にした。