私がここまで逃げてきた時、前から「赤い人」と、後ろから結子が来た事が分かったから、トイレの中の掃除用具入れに入った。


それを留美子と再現してみる。


「こうやって、抱き合うように入ってたんだよ、ここにさ」


あの時は必死だったから考えもしなかったけど……お互いの息遣いを感じるほど密着しているこの状況は、見られているとなんだか恥ずかしい。


「でも、あの時はもっと窮屈だったような気がするなあ……今は少し動けるくらいの余裕はある」


「本当だな、ふたりとも動けるくらいの隙間はあるぞ?」


留美子の背中に回した手をパタパタと動かしながら、余裕を見せて私は掃除用具入れから出た。


「悪かったねぇ、貧乳で……ふたりともこれで叩かれたい?」


私の後から出た留美子が、便器を洗うブラシを手に、不気味な笑みを浮かべている。


そうか……結子と留美子は、胸の大きさが全然違うから、圧迫感に差が生じたんだ……。


「す、すまん……」