私より……手が小さい?





南田先生は男の先生で、少し太っていて大柄な体型なのに、こんなに小さいはずがない。


振り返って、そこに誰がいるのかを確認したい。


でも……振り返ってはいけないような気がする。




「やめて!」





肩に置かれた手を払い、逃げるように踊り場から一階へと走った時、それは私の視界に入った。


私がいた場所より二段上にある、赤い脚と赤いぬいぐるみが。


これは、絶対に南田先生じゃない!


声は確かに南田先生だったのに、姿はまるで違った。


「何よ……今の!」


校門から出るまで振り返っちゃいけない?


振り返らせようとしてるじゃない!!


一階に着き、生徒玄関に向かった私は、さっきの少女が追いかけてくるんじゃないかと不安になりながらも、下足箱の前まで来る事ができた。


あれが噂話だと思っていた「赤い人」?


でも、本当に見たなんて話、聞いた事がないのに。


伊勢は、この事が分かっていて私にあんな事を言ったの?


だとしたら、伊勢は「赤い人」を知っているのかな。


まさか、伊勢が「赤い人」を操ってるって事は……さすがにそれは考えすぎだろうな。


急いで靴を履き替えて、生徒玄関のドアから外に出ようとした時だった。









キィィィィ……。