全身が痛む。
死ぬ間際に「赤い人」にちぎられた身体の痛みが、そのまま筋肉痛になっている感じで、起き上がる事もできない。
「美雪ちゃん、起きてる?もう朝よ」
部屋のドアを開け、お母さんが少し顔をのぞかせて私にそう声をかけた。
私が7つ目のカラダを納めたから、「昨日」が少し変わったはず。
記憶があるという事は、まだ明日香は生き返っていないという事だ。
「あー……身体が痛い。皆もこんな思いしてたのかな……」
自力で上体を起こす事ができない私は、ベッドから転がり落ちるように床に足を付けた。
枕元で鳴り続ける携帯電話のアラームを止めて、洗顔のために部屋を出る。
廊下を歩くのも辛いのに、階段を下りるのなんて、いつ転がり落ちてしまうかと不安になるほどだ。
なんとか階段を下りきった所で、真冬がキッチンのドアを開けて姿を現した。
「あ、美雪。今起きたの?いいよね、学校が近いとさ。そうだ、今日暇?放課後一緒に買い物に……」
「あ、ごめん……なんか身体の調子が悪くてさ。明日にしない?」