もしも生産棟の三階か一階にあれば、「呪い」を解く前に終わってしまう。


それだと……次の犠牲者が出てしまうから。


そう尋ねると、美子は私に近寄り、つま先立ちをして耳を引っ張った。



「赤い人」の力じゃない。


小さな女の子のか弱い力で。


ゴニョゴニョと、美子が私に耳打ちした言葉。


それは、私にとっては受け入れがたい物だった。


でも、それで「呪い」を解けるかもしれないと言うなら、他の誰でもなく、私にしかできない事だと理解するしかなかった。


「……美子ちゃんが教えた場所に来てね」


私から離れて、美子がそう呟いた時。
















『「赤い人」が、西棟一階に現れました。皆さん気をつけてください』
















その校内放送が流れる直前に、私の目の前から消えた美子。


さっき言っていた「少しだけ」とは、この事だったのかな?


私の涙で血が流れて、僅かに現れた美子の部分が出てきた。


つまり、「赤い人」にしがみつかれたら、血を水で洗い流せば美子が出てくる……。


なんて、簡単なわけがないか。