「あしをちぎってもあかくなる~」
だけど……歌ももうすぐ終わってしまう。
「赤い人」と話し合うなんて、やっぱり無理があったのかな。
考えが浅かった。「昨日」美子がしゃべったから、話ができると思っていたけど、それは私の勝手な思い込みだったんだ。
「あかがつまったそのせなか~」
次で最後……その後、私は殺される。
今日は袴田が「赤い人」を見るのを手助けしてしまっただけだ。
「まっかなふくに……」
今日は全然ダメだったな……悪い事ばかりで、全然上手く行かなかった。
「真冬……ごめんね」
そう呟き、思わず流した涙が、「赤い人」の腕で弾けた。
その瞬間、私の腰に回していた腕がスルリと離れ、とたんに身体が軽くなったのだ。
え? 何? もしかして……放してくれたの?
理由は分からないけれど、振り返る事はできない。
何が起こったのかが理解できずに、私はその場に立ち尽くしていた。
「美子?い、いるの……?」