「何だ?話し合いってのは、しがみつかれて殺されるだけかよ。ま、俺は安全に『赤い人』を見る事ができたから、感謝はしておいてやるぜ。じゃあな」


私を見下ろして、そう言った袴田は、工業棟の廊下を南側に走っていった。














「し~ろい ふ~くもあかくする~」















走り去った袴田の姿はもう見えない。


結子が連絡を取っていれば、体育館に行くつもりだろう。


だけど……今はそんな事を考えている場合じゃない。















「まっかにまっかにそめあげて~」















この状況をどうにかしないと、袴田の言う通り、私はただ殺されてしまうだけ。


「美子……『昨日』はしゃべってくれたでしょ!お願い……美紀の『呪い』からあなたを解放したいの!」


美子の願いはそれのはずだから、きっと何か反応があるはずだ。













「お顔もお手てもまっかっか~」












嘘でしょ……何も変わらない。


何か言ってくれると思っていたのに……私の行動自体が無意味な物だったの?