「キャハハハハハハッ!」
来た!あの笑い声!
それと共に私に駆け寄ってくる影。
「死」そのものが迫って来る恐怖が、話し合おうなんて気を削ぎ落としていく。
その恐怖に、私は震える事しかできなかった。
ペタペタペタペタ……。
小刻みに鳴る足音が、私の方に近づいている。
足音とその姿、そして笑い声が私を絶望へと叩き落とす。
「み、美子……」
止まって、来ないで、助けて……何を言おうとして、私は美子に手を伸ばしたのだろう。
そんな私の想いなど、まるで関係ないと言わんばかりに、目の前で「赤い人」が飛び上がった。
まだ起き上がれていない、床に座った状態の私に逃げる手段はない。
「キャハハハハハハッ!」
「赤い人」の腕が、私の首に巻くようにからみ付き、それを軸にして、背中にその身を回り込ませた。
四つんばいのような状態だったから、衝突の衝撃に耐える事はできたけど……。
私は……「赤い人」にしがみつかれてしまったのだ。
「あ~かい ふ~くをくださいな~」
ダメだ……このままじゃあ、殺されてしまう。