奥の渡り廊下まで来たのも、途中にある渡り廊下から「赤い人」を見る事ができなかったからだろう。


「もしもさ、『呪い』が解けても、あゆみちゃんが死ぬ事になったら、袴田は怒るよね?」


「あぁ?何だよいきなり。んなもん当たり前だろ。そうなった瞬間、死刑になってでもテメェら全員ぶっ殺してやんよ」


「……逆に、元気なままだったら?」


正直な所どうなるかは分からないけど、悪い可能性もあれば、良い可能性だって十分に考えられる。


八代先生が考えている「圧縮された時間の解放」なんて事も、本当に起こるかどうか分からないのだから。


「そうなったら……良いんだけどな」


ボソッと呟いたその言葉が、袴田の真意なのだろう。


聞き取れるかどうか分からないくらいの小さな声だったけど、私にはしっかりと聞こえた。


「そうだな、もしテメェが『呪い』を解いてそうなったらなら、俺の女にしてやる。喜べ」


「何それ……私が『呪い』を解くのに、どうしてそんな罰ゲームみたいな事しなきゃならないのよ」


「テメェ、やっぱりここで殺し……」


と、袴田がそこまで呟いた時だった。