「ふたりとも……まだここにいるかな?」


まだ、胸が締め付けられるように苦しくて、呼吸もままならない。


それでも、何か言葉にしないと、この学校の中にひとりだけになってしまったみたいで、寂しかったから。


警備システムはどうなっているんだろう……私達が夜の学校の中をうろついているのに、警備員が来る様子はない。


あぁ、照明も点かない空間だから、そんなのは関係ないんだろうな。


などという事を考えながら、私はやっと会議室にたどり着く事ができた。


会議室のドアをそっと開けて、真っ暗な室内をのぞいた私は、そこに動く人影がない事を確認して声をかけてみる。


「る、留美子? いる?」


ささやくような声で、尋ねてみたけど、それに返事はない。


そんなに大きな部屋じゃないから、いるなら聞こえているはずだ。


と、いう事は、伊勢がいるはずの事務室にいるか、二見の悲鳴に驚いて逃げ出したかのどちらかだと思う。


恐怖で身体は震えているのに、頭の中は時間が経つにつれ、徐々にクリアになってきている。


なんだか不思議な気分だった。