二見の首から飛び散った血がベットリと付着していて、まるで「赤い人」の出来損ないみたいな姿。


心臓に悪い……。


床に落とした携帯電話を拾い上げ、もう一度、自分の姿を確認する。


私が驚くくらいだから、ふたりとも驚くよね。


考える事はあるけれど、とりあえず今は、ふたりのいる場所に向かおう。


震える足を、手で抑えながら、私はトイレを後にした。


トイレから出た私は、「赤い人」を見ないように、そして見つからないように事務室の方に向かって歩いていた。


今日の空は雲に覆われていて、月の光が校舎の中に射し込まない。


真っ黒な闇の中に、緑の光が点在するこの空間に……私はどうしているんだろう。


二見がここまで逃げて来たって事は、伊勢が言っていたように、校門から出る事ができなかったに違いない。


つまり、私達はこの校舎に閉じ込められたという事で……「赤い人」に殺されるしかないのだ。


唯一の救いがあるとすれば、カラダを見つける事だろうけど……。


今の私に、そんな気力は残っていなくて。


伊勢や留美子の顔を見て、安心したい。


ただそれだけを考えて、私は歩いていた。