携帯電話の画面の淡い光で照らされたトイレの中は、真っ赤に染め上げられていて……。


床には、二見のものと思われる首のない身体がちぎられ、引き裂かれ、言葉に出すのもおぞましい姿で、横たわっていたから。


二見の亡骸を目にした私は、何度も嘔吐しながら、血まみれの壁を伝って、なんとか手洗い場にたどり着いた。


鏡に映る私の姿は、真っ暗で何も分からないけれど、きっと血で染まっているに違いない。


天井に当たって、個室の中に入った二見の首から血が降り注いだはずだから、頭頂部に感じる冷たいものは、この空気で冷やされた血液なのだろう。


手にまとわり付く、ヌメリとした液体を水で洗い流そうと、蛇口をひねってみるけれど……水が出ない。


この姿のままで、伊勢や留美子と合流するのか。


今、私がどんな姿なのか、携帯電話を撮影モードに切り替えて、その眩しい光を鏡に向けた。













「ひっ!」












自分の姿なのにそれに驚いた私は、携帯電話を落としてしまった。