特に留美子は、ひとりで廃墟の中を調べるという恐怖に耐えながら頑張ったに違いない。


この数十分で、少しやつれたような印象を受けた。


「って、翔太はどうしたの?さっきからずっとニヤニヤして……キモいよ」


「留美子、お前は人を好きになった事があるか?フフフ……」


確かにキモい……普段の翔太なら、こんな事は言わないはずなのに。


「んな事どうでも良いだろうが……お前、留美子に好きなやつがいるか気になるのか?」


「いや、特に気にはならないけどな」


「なんなのよそれ!! ふたりして私をバカにしてんの!?」


男子の言葉に腹を立てた様子の留美子。


なんだかんだ言って、前回一緒に「カラダ探し」をやっていたからか、この3人は仲が良いように思える。


そんな3人の話を聞いている時だった。













玄関のドアがギギギ……と音を立てたのは。


その物音に、慌てて振り返る3人。


私と翔太は玄関の方を向いていたから分かった。


ゆっくりとドアが開かれて、そこから入ってきたのは……ひとりの年配の男性。


「また悪ガキが入り込んどるな。看板が見えんかったんかい!」