「んー……二階の方が部屋数も少ないよな。俺と美雪で二階を見るから、3人は一階を調べてくれないか?」


割れた窓から光が射し込んでるから、夜ほどの不気味さは感じないけど、それでも廃墟というシチュエーションはあまり良い物ではない。


「もしかして……分かれて調べるつもりじゃないよね……」


「夜じゃねぇから、怖くねぇだろ?学校と比べれば、小さいもんだろ」


高広のその言葉に、ハアッという深いため息を吐く留美子。


「二階を調べ終わったら一階に戻るけど、なんかあったら教えてくれ」


そう言い、階段を上がる翔太の後を私は付いていった。


私と翔太は二階に着き、一番奥の部屋から調べる事にした。


小野山夫妻の寝室、書斎、美紀の部屋と調べたけど、何もない。


「うーん……何もないな。美子も出て来る様子がないし……」


その美子の部屋で、何も手がかりを得られないまま、翔太は考え込んでいた。


ほこりの積もった机にベッド、タンス……そして、恐らく美紀の血で真っ黒になった床や壁、そして天井。


そこにも積もったほこりで、「昨日」の夜には気づかなかった血が、この明るい部屋だと分かる。