翔太も、どうしてそんな事を言うかな?


無駄に怖がらせるだけじゃない。


「そんな事言わないでよ!ボロボロの洋館ってだけで怖いのに!バカ翔太!」


「お前ら、グダグダ話してる場合かよ……手っ取り早く調べるぞ」


玄関のドアに巻かれたチェーンをほどきながら、高広がふたりに向かってボヤく。


高広は、明日香のカラダを見つけたらすぐに棺桶に納める。


調べる時間は0時までしかない。


日数があれば「呪い」を解く方法をじっくり考える時間もあるだろうけど……。


カラダは残りふたつ。


時間があるとは言えなかった。


ドアノブに巻かれたチェーンを、ジャラジャラと音を立てながら地面に落とす高広。


「おら、入るぞ」


ギギギ……というきしみと共に、玄関のドアがゆっくりと開かれる。


中は「昨日」来た時と変わらないのに……家の中から吹く風もないし、なんだか雰囲気が違う。


朝と夜との違いがあるのは分かるけど、どう言うべきかな……誰かに見られているような感覚はない。


それってつまり、美子がいないって事なのかな?