悩んだ結果、翔太が出した答えに、私と留美子はとても乗り気にはなれなかった。


「あのさ、遥に話を聞くのはどうなったわけ?廃墟に行くのも分かるけどさ……そっちも重要だよねー……なんて」


あの廃墟には行きたくないと言わんばかりの留美子。


高広と翔太に、上目遣いで訴えている。


「まだ一限目じゃねぇか。んなもん、さっと行って帰ってくればいいだろ。そこまで時間はかけるつもりはねぇよ」


「ああ、そうだな。今日も幻が見られるかは分からないけどさ」


ふたりは行く気満々だ。


でも、私達だけで行っても大丈夫なのかな?


私有地って看板もあったし、もしも誰かに見つかったら……なんて、考えてないんだろうな。


「んじゃあ、結子が戻ってきたら行くか。しっかし、いつまで便所に行ってんだ?クソか?」


「うわ……高広、なにそのデリカシーのない発言。私が言われてたら、もっと引いてるわ……」


すでにドン引きのような気がするけど……。


そんな事を話していたら、屋上のドアが開いて結子が戻ってきた。