その言葉に、驚いた様子の3人。


「それ、本当なの?何て言ったの……『赤い人』は」


「留美子と別れた後、『赤い人』にしがみつかれてさ……皆から引きはなそうと工業棟まで行こうとしたんだけどね」


そこまで話して、皆の視線がいっせいに私に向けられている事に気付き、なんだか恥ずかしくなった。


「えっと……それで、廃墟で見た幻を思い出してさ、ダメ元で話しかけてみたの。そしたらさ、家政学室の前で『イカセナイ』って……」


「それってどういう事?その後どうなったの?」


その後は……歌を歌い終わってもいないのに殺されたんだけど。


その話をした後、皆「良く分からない」といった様子で考え込んでいた。


分からない理由は、私の言葉に反応したように思えたのに、「イカセナイ」と言って、歌を歌い終わる前に私を殺した「赤い人」。


あの言葉の意味は何なのだろう……。


行かせたくないなら、「赤い人」が工業棟の方にいればいいだけなのに。


そんな事を考えている私の隣で、階下を見ていた留美子が声を上げた。