理由を聞こうにも、泣き続けている留美子から聞き出すのは難しそうだ。


落ち着くのを待つしかないのかな。


「私……思い出した……ぶったの……明日香を!」


泣きじゃくる留美子から聞き取れたのはそれだけ。


明日香をぶった?


それに、思い出したって言ったけど……高広と同じように、前回の「カラダ探し」の事を思い出したのかな?


いや、だったら翔太も思い出しているはずだ。


やっぱり、落ち着くのを待つしかなかったけど教室で泣いている留美子を、このままにしておく事はできない。


クラスメイト達も、怪訝な表情で私達を見ているから。


いつものように屋上に行き、留美子が落ち着きを取り戻すのを待った。










「ご……ごめんね皆……でも思い出したの。私、明日香をここでぶったの……その時私は、明日香の記憶がなくて……遥を殴ったやつがいるって聞いたから……」


「そう言えば……俺も誰かに『私の事、覚えてる?』って聞かれたけど、あれが明日香だったのか……」


留美子も翔太も、何かを思い出している。


でも、高広に聞いた話とは少し違う。