「そうか……美雪は家族に無視されていたのか。何か理由があったのか?」


「理由って言っても……この学校を受験してからかな?入学したら、完全に無視だったけど。翔太はどうしてこの学校にしたの?」


「俺?んー……近いからかな?」


そうだよねぇ……理由なんてそんなものだと思うけど、それじゃあダメなのかな?


翔太とそんな話をしていると、高広と留美子が教室に入ってきた。


教室に入ってきたふたりは、少し様子がおかしかった。


留美子は泣いていて、高広はそれに動揺している様子で留美子をなだめている。


「だからよぉ、泣く必要ねぇだろ?いい加減泣きやめよな」


「だって……だって……私が明日香を……」


いったい何があったのだろう?


登校してくる間に、何があったのかは分からないけど、ただ事じゃなさそうだ。


「高広、留美子に何があったの?なんで泣いてるの?」


「俺も良く分からねぇんだよな……明日香がどうとか、それしか言わねぇからよ」


ポンポンと留美子の頭に手を置いて、ハァッとため息を吐く高広。