冷えた空気に、背中をなでられているような不気味な感覚にずっと包まれていて……。


今すぐここから逃げ出してしまいたいくらい怖い。


「女子トイレが終わったら……皆と合流すればいいんだ」


ブツブツと自分に言い聞かせるように呟いて、男子トイレを出た。


隣にある女子トイレも、男子トイレとたいして調べる場所は変わらない。


この調子なら、すぐにふたりがいる場所に戻る事ができるかな。


そう思いながら、女子トイレのドアに手を触れた時だった。









「きゃあああああっ! 来ないでぇぇ!!」









静寂に包まれていた廊下に、絹を裂くような声が響き渡る。


な、何!?


この声は、留美子じゃない!


ドアを押して、素早く中に入りながら、今の悲鳴が二見結子のものだと理解して、私は一番奥にある洋式トイレの個室へと逃げ込んだ。


悲鳴はこちらの方に向かって来ている。