少しでも「赤い人」の視界から逃れて、私達がどこに行ったか分からないようにするためには、廊下を走って南側に行くよりも、この階段を上った方が良いから。


「どうする!?どこに逃げれば良い!?」


「そんなの分かんないよ!!とにかく隠れるか、分かれて逃げよう!」


「じゃ、じゃあ私はあっち!」


二階に上がり、留美子が南側を指差した。


私もそっちに行きたい。


北側は生産棟につながる渡り廊下だから、「赤い人」が追ってきたらすぐに見つかってしまう。


「わ、私も!」


ふたりで逃げる訳じゃない。


別々に隠れればいいのだから。











「キャハハハハハハッ!」












「赤い人」の笑い声が一階から聞こえた。


もう時間がない。


私は一番近くにある購買に隠れ、留美子は西棟の方に走っていった。


「赤い人」に追いかけられた時は、分かれた方が良い。


一緒にいて見つかった場合、ふたりとも死ぬ可能性があるから。


購買のドアの横にかがみ、息を殺してジッとその時を待つ。