『「赤い人」が、生徒玄関に現れました。皆さん気をつけてください』














かなりまずい……カラダをふたつ見つけたとはいえ、まだ完全に生徒玄関を調べたわけじゃないのに。


私たちは、どこへも逃げる事ができずに、生徒玄関に残ったまま、「赤い人」をやり過ごさなくてはならないのだ。











「あ~かい ふ~くをくださいな~」











低く、うなるような声が……西棟の方から聞こえ始めた。


「赤い人」とは反対側にいるけど、その姿を確認するわけにはいかない。


……いや、この状況なら、逃げるためには姿を見た方が良いのかも。


振り返らなければ良いのだから。


気になったのは、「赤い人」がここに呼ばれたという事は、高広はどうなったのかという事。


それが不安だった。















「し~ろい ふ~くもあかくする~」














ペタペタという足音と共に、歌声が近づいてくる。


この音だと、「赤い人」はまだ廊下を歩いているはず。


下足箱のドア側に身を隠し、様子を見る私達。


このまま見つからずに「赤い人」が通り過ぎてから西棟側まで音を立てずに移動できれば逃げ切れるだろう。


姿を確認するのは、最終手段にしよう。












「まっかにまっかにそめあげて~」