「あれ……何か持ってる?」


壁から少し顔を出した私は、その人影が何かを運んでいる事に気づいた。


あれは……もしかして、カラダ?


もしもあの人影が結子だったら、私は大馬鹿だ。


怪しいってだけで袴田とつながっていると思い、避けていたのだから。


人影がホールに入り、視界から消えた。


私はそっと壁の陰から出て、人影が入った反対側からの入り口へとゆっくり近づく。


そして、その人影が棺桶に近づき、それを納めたのを確認して、私は携帯電話の明かりを向けた。









「誰っ!?」










それに気づいたのか、慌てて振り返ったのは……留美子だった。


「留美子……良かった、合流できて」


そう言った私を見て留美子も安心したのか、フウッと息を吐いて近づいてくる。


「あれ?美雪ひとりなの?高広と結子は?」


留美子のその質問に、私はどう返事すべきか悩んだ。


「高広は『赤い人』に追いかけられて、どこかでまだ逃げてると思うんだけど……結子ともはぐれちゃったし。留美子こそ、翔太はどうしたの?」


結子の事は、まだ言わない方が良い。