考えてみても、本人に直接聞く事がないから分からない。


知っているとすれば、結子なんだろうけど……袴田とつながっているなら、本当の事は教えてくれないかもしれない。


そんな事を考えながら階段を下り、二階に到着した私は、廊下の音に耳を澄ました。


何も音は聞こえない。


大職員室は、階段を下りてすぐの東棟へと続く廊下にある。


そこに行けば、この棟はほとんど調べた事になるのだ。


何の音も聞こえない今のうちと、すばやく大職員室へと向かう。


ドアを開けて中に入り、室内に携帯電話の明かりを向けた私は、そこがまだ調べられていないという事を理解した。


翔太と留美子は、まだここには来ていない。


ふたりは図書室の方かな?


それとも、まったく別の場所にいるのかな。


例えば……体育館とか。


東棟を調べていたのなら、つながっている体育館も調べる候補に十分入ると思う。


「大職員室か……調べる所多そうだな……」


室内に光を向けると、スチール製のデスクがたくさんあり、キャビネットや棚も多い。


これをひとりで調べるとなると、かなり骨が折れる。