「うっ!」
熱い物が胃から逆流してくる感覚を必死に抑え、なるべくそれを直視しないように、視界に入る程度で。
潰された頭部と胴体から、それが袴田のモノだという事は分かった。
だけど、亡骸はひとり分……。
そこに結子の亡骸はなかったのだ。
すぐさま袴田の亡骸に背を向け、教室を出た私は呼吸を整えながら、これからの事を考えていた。
結子がどこにいるか分からない事で、疑いが強くなっている。
まだ疑いの段階で、状況証拠しかないけれど、それでも限りなく黒に近かったから。
とりあえず、三階はもう調べ終わったかな。
袴田の亡骸を確認した時に、掃除用具入れは少し開いていた。
高広が、南側の階段から全部、調べてくれたという事だろうから、三階にいる必要はない。
二階に下りて、大職員室か図書室に向かおう。
「赤い人」から逃げるために、高広がどこに逃げたかは分からないけれど、私にできる事はカラダを探す事だけだから。
「どうして袴田は高広を狙うのかな……高広を殺しても、私達がカラダを探せば意味ないのに……」