そして……教室のドアに手をかけて、ゆっくりとそれを開いていく。


まだ携帯電話を室内には向けていないから、真っ暗なその中には何があるのか分からない。


「大丈夫……もう、腰を抜かさない……」


原型を留めていない亡骸を見ると、私は腰を抜かしてしまうから。


私が動けなくても「カラダ探し」は続くのだから、しっかりしなくちゃいけない。


深呼吸をして、携帯電話の明かりを室内に向けた。


パッと見たところ、別段変わった様子はない。


ただひとつ、教室の後ろが赤黒かった事を除けば。


誰かが……確実に死んでいる。


それが分かっていながら、確認しなければならないというのは辛い。


ガクガクと震えるひざが曲がって、座り込んでしまわないように、机に手を突きながら、ゆっくりと赤黒い場所へと向かった。


なるべく床に光を向けないように近づき、その場所の手前で足を止める。


教室の半分から上を照らす光を、下に向ける勇気が持てない。


でも……私が確認しなければ、本当の事が分からないから。


震える手を、徐々に下に向けて行き、その亡骸を確認した。