本当は行きたくないけど……高広の口振りと状況から考えると、袴田が「赤い人」を見て、高広の前で振り返ったと考えるのが一番可能性がある。


その時に結子を道連れにして「赤い人」に殺された。


結子の疑惑を払拭するには、袴田と結子の亡骸がそこになければならない。


それを確かめるためにも、教室を確認するしかないのだ。


かわいそうだけど、結子の亡骸がそこにあるか、高広の口から「逃がした」と聞かなければ疑いが晴れそうにないから。


疑わなければならないのか、信じてもいいのか。


教室のドアを開けた私は、廊下から物音が聞こえない事を確認して、階段の向こう側にある教室へと向かった。


この教室には十中八九、袴田の亡骸があるはず。


そうでなければ、高広が「武司の野郎」なんて無意味な台詞を言うわけがないから。


惨殺されているのが分かっている場所に行くのは、正直きつい。


それでも、確認しなければならない事なのだ。


教室に近づくにつれ、その答えにも近づく。


心臓がドクンドクンと激しく動いている事が分かる。