袴田が部屋にまで来るから、携帯電話を家に置いてきたと結子は言っていたけど……それを確認する事なんてできない。


私達が西棟に行くと決めたのは昼間。


もしもその時に、私達の見えない所で袴田にメールでも送っていたら?


私が一階の教室で様子を見ようと言ったけど、私が言わなければ結子が言ったかもしれない。


高広とふたりで三階を調べたいと言った事も疑わしく思える。


そう考えると、つじつまが合ってしまうのだ。


せっかく信じる事ができると思ったのに……冷静になって考えれば考えるほど、結子を疑ってしまう。


その材料がそろいすぎているのだから。


でも、万が一違ったら……とにかく、何が起こったのかを確認しよう。


なぜ結子がそんな事をしなければならないのか。


なぜカラダを見つけた私を邪魔しなかったのか。


その事だけが気になるけど、結子が何を考えているのか、それを問い詰める事はできない。


偶然の一致だった場合、結子はひとりになってしまう。


でも、もしも袴田とつながっている場合、確実に向こう側に戻る事になる。








……難しい。


とりあえず一番奥の部屋で何があったのか、確認しよう。