すでに高広は階段を下りていて、私がその後を追いかけても、「赤い人」に追いかけられるのは私に違いないから隠れるしかない。


状況が把握できないけど、今確認した教室の中へと入り、息を潜めた。













「キャハハハハハハッ!」














 「赤い人」の笑い声が廊下に響き渡ったのは、その直後の事だった。


それが高広を追いかけて階段を下りていく。


危なかった……判断を誤って高広の後を追っていたら、私が追いかけられていたかもしれない。


少し荒くなった呼吸を落ち着け、北端の教室で高広に何があったのか。


そして、一緒にいるはずの結子はどこに行ったのか……。


分からない事ばかり。


「もしかして……結子が?」


最初の校内放送が流れた時、袴田は何か言っていたような気がする。


生産棟の二階まで……。


確かそう言っていた。


「赤い人」が生産棟の二階に現れたから、そこに行かないようにするなら、「まで」なんて言わないはず。


袴田は最初から「赤い人」が目当てで生産棟の二階に?


そして結子が、なんらかの方法で高広の居場所を袴田に教えた……。


でも、どうやって?


「……結子は、携帯を持っていたの?」