唐突に校舎に鳴り響いたこの校内放送で、心臓がドクンと音を立てると共に、全身が冷たくなる感覚に包まれた。


教室のドアとドアの間……もしも「赤い人」が廊下にいるなら、教室の中に駆け込むまでに見つかってしまう。


でも……この場所にいても襲われないって事は、「赤い人」は教室の中にいるの?


「テメェ! ふざけんなよ!」


あせる私の耳に、一番奥の部屋の方から聞こえた怒鳴り声。


この声は……高広?


結子と一緒にいるはずだけど、どうして怒鳴っているの?


教室に逃げ込もうか、この場から離れようか悩んでいた時、奥の教室から飛び出した人影に私は驚いた。


「くそっ!武司の野郎!」


「た、高広!?どうしたの!?」


「美雪か!?話してる暇はねぇ!『赤い人』だ、逃げろ!」


何が何だか分からない。


高広は結子と一緒にいたんじゃないの!?


それなのにどうしてひとりで……なんて、今は考えてる場合じゃない!