何事もなく玄関前ホールに到着した私は、先に納められているカラダを見て、相変わらずの不気味さに身を震わせた。


両脚と頭部、左胸がない人間の身体……。


そこに左胸を納めると、今まで切断されていた部分が、何もなかったかのようにつながり始めたのだ。


そして、ものの数秒で元の身体に戻ると、さらに不気味さが増す。


バラバラのパーツが集まり、「物」が「人」へと変わって行く不気味さというのだろうか。


後は頭部と両脚。


脚はともかくとして、頭部を見つけた時、私は平静を保っていられるのかな?


「……考えていても仕方ないよね。三階に戻ろう」


頭部を見つけても平気な自信はまったくないから、できれば他の誰かに見つけてほしい。


西棟に入り、南側の階段の方に向かって歩く。


まだ「赤い人」の歌は聞こえてこない。


生産棟から動いていないのか……それとも東棟に行ったのか。


留美子と翔太も、そろそろ東棟の三階は調べ終わっているかな。


「赤い人」が東棟に行っていないなら、図書室や大職員室を調べていてもおかしくはない。