携帯電話を手に、その明かりで進行方向を照らしながらトイレへと向かう。


「高広?いる?」


女子トイレの中を照らして呼びかけてみるけど、返事はない。


隣の男子トイレも見たけれど、人がいるような気配は感じられなかった。


と、なると……南端の教室にいるのかな?


そう思いながら、携帯電話を男子トイレから、廊下へと向けた時だった。











「お前、何やってんだ?」














携帯電話の光で浮かび上がった高広の顔に、私は心臓が止まりそうになる程驚いた。


「び、びっくりした……もう!驚かさないでよ!!」


「か、勝手に驚いたのはそっちだろ!?三階に行ったんじゃねぇのか?」


「あ、それそれ!三階でカラダを見つけたよ!」


高広に向けていた光を、腕に抱いた明日香の左胸に向ける。


「おぉ」と、安堵の吐息混じりに呟いた高広の声はうれしそうに聞こえた。


「これで5つ目だね。後3つが集まるまでに、『呪い』を解く方法を考えなきゃいけないね」


終わりは近づいている……まあ、カラダを見つけたとしても、棺桶に納めなければ良いだけなんだけど。