「校内放送が流れたのがさっきだからぁ、まだ大丈夫だと思うけどぉ、早く帰って来てねぇ。トイレくらい調べておくからぁ」


「うん、なるべく早く帰ってくるね」


ギュッと明日香の左胸を抱き締めて、教室の後ろのドアへと向かい、廊下の音に耳をすました。


まだ「赤い人」が、この辺りに来ている様子はない。


行くなら今のうちだ。


ゆっくりとドアを開け、トイレを挟んですぐにある階段へと私は走った。


結子を少し疑っていたけど、私と一緒に真面目にカラダを探してくれた。


変な事を考えずに、高広みたいに素直に信じれば良かったかな。


結局、邪魔をされたところで、私達が頑張ってカラダを見つければ良い事なのだから。


階段を下りながら、少しは高広の気持ちが理解できたような気がした。


階段を駆け下りて、一階に到着。


高広なら、もうトイレくらいまでは調べ終わっているかもしれない。


この左胸を納めてから高広を探してもいいけど、入れ違いになってしまう可能性があるから、先に伝えておかないと。