「そう……だよねぇ。棺桶までぇ、運ばなきゃねぇ。どうするぅ?私と美雪のぉ、どっちが持って行くぅ?」


本当にどうすれば良いんだろう。


いろんな可能性を考えるなら、私が運ぶ方が良い。


結子にはここにいてもらって、一階にいる高広に結子の居場所を伝えれば良いのだから。


「私が運ぶよ……高広には、結子がこの教室にいる事を伝えておくからここで待ってて。棺桶にカラダを納めたら、また戻って来るからさ」


結子がカラダを持ち逃げするとか、袴田とつながっているとか、そんな可能性を考え出したらキリがない。


でも、結子が袴田に恨まれているとしたら、なるべく動いてほしくないというのが本心だった。


教卓に歩み寄り、明日香の左胸に手を触れる。


右胸を見つけた時の感覚に似ている……。


心臓の鼓動が早くなり、額に汗が噴き出すほどの、不気味な感覚。


それをゆっくりと持ち上げ、胸の前で抱き締めた。


「行ってくるね……『赤い人』が来る前に高広を呼んでくるけど、もしもそれまでに『赤い人』が来たら……ごめんね」