もしも袴田がこっちに来た場合の事を考えると、高広がドアの近くにいてくれた方がありがたい。


残るカラダの部分で、机の中に入るような物はないと判断した私は、ゴミ箱へと向かった。


結子が掃除用具入れ、私がゴミ箱を調べて、後は机の下か上くらいしか調べる所がない。


それも、携帯電話の明かりで照らせば、そこにはない事が分かる。


「この部屋にはないね。隣の部屋に行こうか?」


廊下の外には聞こえないくらいの声で、高広と結子に尋ねた。


「まだ武司が来てねぇけど……大丈夫か?」


「そう言えばぁ、校内放送もまだだよねぇ」


「赤い人」と袴田……どちらが怖いかなんて、比べるまでもない。


「東棟に行ったんじゃないかな?こっちに来ないって事は」


いくら待っていても、袴田が確実に西棟に来るというわけじゃない。


だったら、東棟に行った可能性が高いと思う。


「じゃあ、校内放送が流れたら行くか。こんな早くに『赤い人』に襲われたら洒落にならねぇからな」


生産棟と西棟の一階、それと東棟の教室からだと、私達が見つかる可能性がある。


そんな事を考えていた時だった。













『「赤い人」が、生産棟二階に現れました。皆さん気をつけてください』