美子が死んで、お姉ちゃんと呼んでもらえない事が悲しくて……美子が大切にしていたぬいぐるみを壊そうとしたけど、それが全部美紀に返った。


きっと美子が、妹だと思っているぬいぐるみを守ろうとしたんだ。


どちらがお姉ちゃんかと言えば、美紀よりも美子の方がお姉ちゃんに思える。


「美子ちゃんはお姉ちゃんがずっと守ってあげるからね……ずっと、放さないから!」


強い口調で、美紀がそう言った時だった。















「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
















傷だらけの美紀の背中から……耳をふさぎたくなるような咆哮。


そして、全身の赤いアザが赤い服の中に吸い込まれるように集まり……美紀の背中を割って、血まみれの「赤い人」が飛び出したのだ。


ベッドの上に立った「赤い人」は、美紀の亡骸を見下ろして……その身体をちぎり出す。


部屋中に投げ捨てられる肉片……私はその光景から、思わず顔をそらした。


母親が半狂乱になっていた理由が分かった。


美紀が死んだ理由も……。


でも、「呪い」を解く方法は私には分からなかった。


ゆっくりと消えていくこの幻……美子は私達に、いったい何を伝えたかったのだろう。