そして……赤い服を着た少女が、窓の外を見ながら立っている姿がそこにはあった。


あれは美紀……私が知っている赤い服と同じ物を着ている。


「……どうして美子ちゃんも赤ちゃんも死んじゃったの?天国で美子ちゃんは、赤ちゃんのお姉ちゃんになったの?」


こちらに背を向け、ブツブツと呟く少女が、何かに気づいたように、ゆっくりと振り返った。








「そこにいるのは誰!?」









振り返った少女のその姿に、私は初めて幻に恐怖したかもしれない。


少女の……美紀の首に、小さな赤い手のようなアザがあったのだ。


いや、首だけじゃない……まるで、背後から抱き付かれているような赤いアザが、太股や腕にも付いている。


「誰もいない?美子ちゃんが死んでから、ずっと誰かに見られてるような気がするなぁ……身体も重いし」


そう呟き、ポリポリと首のアザをかく美紀。


あのアザに気づいていないのだろうか……まあ、見えていたら両親が病院に連れて行くだろうし。


「もう美紀ちゃんはお姉ちゃんじゃなくなっちゃった……美子ちゃんも、一回もお姉ちゃんって呼んでくれなかったし」