純真な美子の想いを知ったからだろうか、殺害されてバラバラにされたという事もあって、美子がかわいそうに思えてならない。


「あのぬいぐるみが妹かぁ……赤ちゃんが死んじゃったって、流産でもしたのかな?」


「まあ、そうだろうな。産まれていたなら、あの母親も名前で呼んでいただろうし……」


留美子の問いに、すでに答えを用意していたであろう翔太が呟く。


皆、今の幻で美子の寂しさを感じたのだろう。


口数も少なく、各々部屋の中を見回していた。


「この部屋でも幻が見えたのかい?いったいどんな幻だったのか教えてくれないか?」


そのしんみりとした空気を破った八代先生。


誰も説明しそうにないから、私は先生に駆け寄って今の幻の説明をした。


その話を聞いて、「ああ」と小さく呟いた八代先生。


そんな事は考えてもいなかったのだろう。


何か言おうとしているけど、言葉が見つからないといった様子で部屋を見回した。













ギシ……。





ギシ……。














再び廊下から音が聞こえた。


私達を次の部屋へと導こうとしているのだろう。