八代先生が知りえなかった情報だとしたら、聞いてなくても仕方がない。


「いや、美紀と美子には他に兄弟はいないはずだけど……おかしいな」


高広の言葉に、顔をゆがませて頭をボリボリかきむしる八代先生。


「それよりもぉ、どうして私達がこんなの見るのぉ?」


「それはたぶん、俺達に何かを伝えたい……って考えるのは不自然か?俺達は『呪い』をかけられてるだろ」


結子の疑問も、翔太の疑問も、私には分からない。


でも、この家に残った強い想いを、呪われている私達は確かに感じ取る事ができる。


八代先生には見えない幻が、私達に見えるというのがその証拠だった。


「誰かが何かをキミ達に伝えようとしているのか?いや、美紀は『カラダ探し』をさせているわけだし、美子は『赤い人』だ。だとすると……」


ブツブツと呟く八代先生を尻目に、台所にある物を調べる私達。


食器や鍋など当時のままで、ある日突然ここからいなくなったという印象を受ける。


この部屋の何を調べてみても、さっきのような幻を見る事はなかった。