「あら、本当に?良かったわね美子ちゃん。でも、今はお食事を作ってるから、お二階で遊んでてね」


「うん!」


その短い会話のやり取りの後、少女は部屋を出て行った。


今のは……美子?


美紀と美子に、他に妹か弟がいたの?









そんな事を考え、まばたきをした後……目の前にあったのは廃墟の台所。


「……でね、ここで食事を作っていた和子さんは、数年前に亡くなられたんだよ」


八代先生が何かを説明してくれていたみたいだけど……それどころじゃない。


「なんだ……今のは」


「もしかして翔太も?」


どうやら私だけじゃないようで、八代先生以外は、今の光景を見たのだと分かった。


怪奇現象……そう言ってしまえば、そうなのかもしれない。


でも、今の幻には恐怖を感じなかった。


むしろ、微笑ましい日常のひとコマといったものだ。












「僕がここに来たのは『カラダ探し』を終わらせた後だった……だから何も起こらなかったんだね。きっと、キミ達が見たのが和子さんだよ」


「和子さんはどうでも良いんだよ!それより、美紀と美子に兄弟がいるなんて聞いてねぇぞ!」