「た、確かに不可解な状況だけど……俺は袴田の意見に賛成だな。早く帰った方が良いと思う」


「翔太、お前分かってるじゃねぇか。高広より、俺の方が正しいって思うだろ? さっさと帰ろうぜ」


ニヤニヤと笑い、浦西の肩を叩きながら伊勢を見る袴田。


現実的に考えれば、浦西が言うように帰るべきだと思う。


だけど、伊勢が本当に「カラダ探し」をやった事があると言うのなら、きっとここから出る事はできないのだろう。


それに……友達の言う事は信じたい。


「んー、私はぁ、武司の言う通りにするかなぁ。だってさぁ、眠いじゃん?」


この頭の悪そうなしゃべり方をするのが二見結子。


袴田武司の彼女で、いつもベタベタくっついている。


「校門には見えない壁があんだよ。だから、カラダを全部集めるか、全員が死ぬまでここから出られねぇ」


伊勢のその言葉に、私の心臓がドクンと音を立てたのが分かった。


不安と恐怖……それが入り混じった、胸を締め付けられるような感覚。